メアリーの部屋(マリーの部屋)

クオリアが分からない。と言い続けることに疲れたので、
デイヴィット・チャーマーズの「意識する心」を読んでみた。
こんな酷い本だと思わなかった、というのが正直な感想。
なんでこの人は、こんなに無邪気なのかが分からない。

以下、書中の「メアリーの部屋/マリーの部屋」に対する解釈を「うみねこのなく頃に」の魔女合戦に合わせた感じで書いてみた。二次創作注意。
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●部屋のメアリー
メアリーは、生まれたときから、部屋に閉じ込められて育ちました。
メアリーの住んでいる部屋には、色が一切ありません。部屋のすべてのものは白と黒と灰色のみ。たまに、全身黒い服を着た兵士達が、食べ物を持ってくるのですが、このパンや水も灰色。色がありません。兵士達は、メアリーが知りたいと望むもの、望んだものを何でも与えてくれました。ただし、兵士達の持ってくる物は、きまって色の存在しないものでした。

外の世界を知らないメアリーは、本を読んで育ちました。メアリーはとても賢い子でしたから、本を読むだけで、外の世界に溢れる色を理解することが出来ました。
本を読むうち、メアリーは、外の世界をひとめ見たいと願いました。しかし彼女は、外の世界に出ることを許されていません。メアリーは兵士達にその願いを伝えましたが、兵士達は首を横に振るばかり。

そんなメアリーを可哀想に思ったのでしょうか。
ある日、ベッドに横になったメアリーの下に、金髪の魔女が現れました。
魔女は言いました。一度だけならば、その扉を開け、外の世界を見せてやろう、と。
ただし、魔女の魔法は一度だけ。一度外に出たのなら、その後一生、お前はこの部屋に閉じ込められたままであると。

メアリーは魔女の提案を承諾し、魔女と共に外に出ました。

そこにあったのは、色とりどりの世界。美しい草原の緑、木々の肌の色、空や湖の青。
メアリーは本を読んで、外の光景を知っていたつもりでした。でも、まさかこんなすばらしい世界が広がっているなんて!
メアリーは夢中で草原を駆け抜け、森の木々を抜け、動物達と遊びました。そして、丘に登り、日が暮れる間、これ以上ないほどの美しい夕日を見たのです。

そして、魔女の魔法が切れるころ、メアリーは再び部屋に戻ってきました。
すばらしい体験をしたメアリー。しかし、そこにはもう魔女はおらず、白黒の壁しかありません。そして、もう魔女は二度と来ないでしょう。
メアリーは、自分が知らなかったことを知ってしまったことを深く悔やみ、泣きました。
翌日、兵士達が部屋を開けると、そこには食事のナイフで首を突き、冷たくなったメアリーが倒れていました。
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ベアトリーチェ「……くっくっく。どうだ戦人?この女を可哀想だと思わぬか?
もしお主が妾の魔法を認めるなら、この女を一日と言わず、一生の間、外に出してやっても構わんぞ?」

戦人「……こんな下らない幻想で、俺が屈服すると思ったのか?

まずは事実の確認だ。復唱要求!兵士達はメアリーが知りたいと望むものをすべて与えた!」

ベアトリーチェ「ふむ……復唱に応じよう。
兵士達はメアリーが望むものを全て与えた。ただし色のついた物を与えることは無い】」

戦人「ああ、これは当然認めてくるよな。じゃあ、これも赤で復唱してもらうぜ。
メアリーは色に関する全ての知識を得ることが可能だった!
色に関する全ての知識ってのはええっと……目の仕組みとか、色の周波数とか、そういうのだ」

ベアトリーチェ「【メアリーは色に関する全ての知識を得ることが可能だった
女が色に関する”知識”を得ることは、特に制限されておらぬ。…無論、実際に見ることを除いてだが」

戦人「……認めたな?じゃあこれはどうだ?復唱できるか?
メアリーは色を体験するための、”実験用の設備一式”をそろえることが出来た」

ベアトリーチェ「…………………………くっくっく。そういうことか。
……復唱は拒否する。理由は特に無い」

戦人「あぁ、駄目だぜ。全然駄目だ、ベアトリーチェ。その復唱拒否じゃあ、答えを言ったも同然だ。

メアリーは部屋の中で、実験によって色を体験することが出来た!だから、色の無い部屋に閉じ込められたからといって、そのことに絶望する必要なんかまったく無かった!
魔女がメアリーに絶望を与えることなんか、できっこない!」

ベアトリーチェ「……ぐ、ぐぐ……まさか、自殺の動機を否定するとは……
だが、【メアリーは色の着いた物を手に入れることは出来ない!
…であれば、どうやって色を発生させることが出来るというのか!?」

戦人「いっひっひ……色を作り出すものに、色が着いているとは限らないぜ。
無色透明のプリズムだって、虹を作り出すことが出来る。こいつは俺達の祖先が残した武器の一つだ。

……いや、そういうことだけじゃない。
もしお前がプリズムを否定するなら、俺は人間の持つあらゆる手段を使って、メアリーに色を体験させてやる。そのことに全力を尽くす。
…魔女が何を企もうと関係ない。お前がメアリーから目を奪うなら、俺が目の代わりを考える!お前が腕を奪うなら、俺が腕になるものを探してやる!こっちには無限の青があるからな。
そもそも、メアリーは色に関する全ての知識を得ることが可能だったんだろ?だったら、その知識を全て使えば、色を再現して、自分で体験することだっていくらでも可能だったはずだ。

…お前が俺の弾幕を避ける手段は一つ。俺がメアリーを手助けする手段Xに対し、俺が納得できる範囲で線を引くことだ。
メアリーが接触可能な知識について、定義を要求する。
ひるむことはないぜ。魔女の赤字はお前の特権だ。ヘンペルのカラスでもなんでもいい。お前の赤字を使って、人間が知ることの出来る範囲を限定してみればいいじゃねえか。
……………出来るもんなら、だけどな!」
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思考実験としての「メアリーの部屋」の良くないところは、
あらかじめ、特定方向に思考を縛るような誘導がされることだと思う。
哲学的”ゾンビ”についても同じ。「あなたはゾンビですか?」という問いかけに
簡単に「はい」と答えられる人がいるはずはない。

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